10. 「大地震の代償」
 
昔の記録写真と現在の王滝村の姿を照らし合わせると、その変貌に言葉がでないほど自然の破壊力を思い知らされる。

1984年(昭和59年)9月14日午前8時48分。
王滝村の運命を大きく変える出来事が起こった。
M6.8直下型の長野県西部地震である。
現在、田の原高原まで登り御嶽山八合目付近を見れば、南東斜面の尾根部に起きた大崩壊の跡を見ることができる。これが俗に言う「御嶽崩れ」である。

御嶽崩れの一部


田の原高原を訪ねて崩落した斜面を見て唖然とした。
この規模が土石流になったのか。こりゃ、ひとたまりも無いかも・・・。
当時、地元の方々は「山が流れる。」と表現したそうだ。

王滝川は木曽川最大の支流で、その規模は木曽川を凌ぐ大きさでもあるが、その王滝川を完全に塞ぐ量の土砂であった。
土石流は王滝川支流の濁川を崩壊させ、濁川温泉や氷ケ瀬〜柳ケ瀬地区を一気にのみ込み、歴史から抹殺させてしまう。
そして、王滝川を堰きとめた大量の土砂で自然湖が出現。
皮肉にもこの自然湖は幻想的で上高地の大正池をも髣髴させ、今ではカメラマンが大勢訪ね観光地と化している。

フォトジェニックな姿の自然湖

自然湖の立ち枯れの景観はフォトジェニックで美しい。
しかし、旅の疲れを癒す濁川温泉も景勝と言われた氷ケ瀬も・・・。
今ではもう撮ることも見ることもできない。

2004年 初記



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