12. 「木曽川の伝承」
 
与川は緩傾斜地に集落が散在し、山は深く美しい


渓流釣りでたまたま知った2メートルほどの大きなお地蔵様。
それは与川の入り口と伊奈川の田光に祭られている。

木曽では土石流のことを「蛇抜け」と呼び、与川では天保十五年の蛇抜けで九十九名が犠牲、伊奈川では大正十二年の蛇抜けで二十六名の犠牲者、不明者多数が発生と記録されている。
与川も伊奈川も花崗岩と砂地のような渓が続き、これは中央アルプス側から注ぐ渓の特徴で、蘭川、越百川、滑川なども同様で荒れ川と称されている。(2012年5月現在、滑川の土石流はgoogleでネット検索すると映像を見ることができます。)
しかしこれらの荒れ川を遡行するとたびたびイワナに出会うことができ、自然の再生能力と懐の奥深さを垣間見ることができる。

荒れ川の伊奈川と美しい桜

木曽ではこのような大きな災害はお地蔵様を祭ることで供養され災害の重さを伝承されている。
沢の濁り、水位の変化、それは山が動く知らせであり、源流域に雨雲が厚くなった時はお地蔵様を思い出し、即撤収する勇気を持つようになった。
こうして今もなお、渓で大きな事故に遭遇することもなく木曽谷の釣りを楽しませてもらえているのもお地蔵様の姿を思い出すからであろうか。

撮影や釣りをするだけではなく、地方の伝承に着目し、災害の歴史を読み解く。
これも自然の中で遊ばせて頂くうえで重要なことなんだということを教えてもらえたのが2メートルの大きなお地蔵様である。

2012年 初記



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